黒姫とは

黒姫山

黒姫山(くろひめやま)は、長野県信濃町にある標高2,053mの成層火山

黒姫山は斑尾山妙高山戸隠山飯綱山とともに北信五岳のひとつに数えられている山で、今から約17万年前ごろから火山活動を初め、4万年前ごろに現在の中央火口丘である小黒姫山(2,046m)を形成した。外輪山と中央火口丘の間には火口原が広がり七ツ池がある。南東方向より見た整った姿から信濃富士とも呼ばれている。

古くから信仰の対象とされ、黒姫というお姫様の悲話伝説「黒姫伝説」があり、山名の由来になったと言われている。

東山麓は黒姫高原として観光地化しており、冬季には黒姫高原スノーパークでスキーやスノーボードが楽しめる。

黒姫伝説

むかしむかし、信州の山のふもとの城に、黒姫という美しいお姫様がおりました。
ある日のこと。城の殿様が黒姫をともなって花見に出かけると、そこに一匹の白いヘビが現れました。
黒姫がヘビを怖がることなく杯をふるまってやると、ヘビは酒を飲み干し、去りがたそうに姫を見上げました。

ひとりの若者が黒姫をたずねて来たのは、その晩のこと。若者は姫に、竜をかたどった鏡を授けると、霧のように消えてしまいました。
黒姫は、気高く美しいこの若者に心惹かれますが、数日して再びたずねて来た若者に殿様が会ってみると、彼はこう言うのです。
自分は山の大沼池の主である黒竜なのだと。白ヘビに化けて散歩していた時に出会った黒姫が忘れられず、こうして参上したのだと。若者は黒姫をわが妻にと頼みますが、人ならぬ者に大事な娘をやれないと、殿様は若者を追い返してしまいます。

しかし、それから何日も何日も、竜の青年は人の姿をとって殿様の前に現れ、同じ願いを繰り返しました。そうして100日が過ぎた頃、殿様はある話を若者に持ちかけます。
「わしが馬に乗って城を21回まわる。遅れずに付いて来れたら、お前に姫をやろう。」

こうして殿様と竜の青年の力くらべがはじまりました。
若者は負けじと殿様の後を追いますが、なんせ相手は馬に乗り、こちらは走っているのです。彼は次第に苦しくなり、ついに竜の姿を現してしまったのだから、 さあ大変。はいずる竜を、橋の下に隠れた殿様の家来達が、刀で切りつけます。見る見る血は流れ、竜は息もたえだえ。それでも竜は21回城をまわり終えまし た。しかし、傷付き、見るも恐ろしい姿になった竜に、殿様は言うのです。
「お前のような異形の者に、姫をやれるか!さあ帰れ!さもなくば切り殺すぞ!」
竜はついに激怒しました。
「さんざん礼を尽くした結果がこれか!」
竜はそう叫び、かき消えたかと思うと、辺りは真っ暗になり、激しい嵐となりました。あちこちで洪水が起こり、人々は悲鳴をあげて逃げ惑います。

そのありさまに黒姫は、いてもたってもいられません。
「お父様、なんとひどいことを!竜との約束を破った上、傷つけて帰すとは、人間としてあるまじきこと!」
黒姫は庭へ走り出ると、竜の青年がくれた鏡を空へと投げて叫びました。
「竜よ、私はあなたのもとへ行きましょう。だから嵐をしずめておくれ!」
鏡はきらめきながら空へ吸い寄せられたかと思うと、たちまち黒竜が降りてきて黒姫を背に乗せ、再び空へと駆けのぼりました。
黒姫は竜の背から見える風景に、目を覆いました。城も家々も畑も流され、辺り一面は川原と化していたのです。

黒竜は山のいただきに静かに降り立ちました。
竜の背中から降りると、黒姫は涙を流して言いました。

「竜よ、あなたはなぜ、あんなひどいことをなさいました。罪なき村人を巻き込むなんて。」
黒姫の言葉に、猛々しい竜もその目に涙浮かべて答えるのでした。
「許してください、姫。人間に裏切られたと知った時、私の心には、自分にもどうにもならない荒れ狂うものがあったのです。しかし姫のやさしい心に触れ、私の心も生まれ変わることが出来そうです。」

こうして黒姫と黒竜はこの日より、この山で共に暮らすようになりました。
以後、人々はこの山を「黒姫山」と呼びます。

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